中小企業こそ活用すべき、ノンアセット型3PLによるコスト最適化
2025.12.01
物流コストの高騰、人材不足、ECニーズの拡大…。
今、多くの中小企業は「物流をどう最適化するか」という
課題に直面しています。
特に、自社で倉庫を持たない企業や、物流部門が少人数で運営されている企業にとって、物流の効率化は経営に直結する重要テーマです。
そこで注目されているのが、**ノンアセット型3PL（Third Party Logistics）**です。
ノンアセット型3PLとは、自社では倉庫・車両などの資産を持たず、
最適な物流パートナーやリソースを組み合わせ、企業の物流業務を
設計・運用するサービスのこと。
実は今、中小企業にこそ最も相性の良い物流モデルとして選ばれています。
本記事では、
なぜ中小企業こそノンアセット型3PLを活用すべきなのか、どんなコスト最適化効果が期待できるのか
を分かりやすく解説します。
■ ノンアセット型3PLが中小企業に向いている理由
1. 柔軟なリソース調達で、ムダな固定費をゼロ化できる
ノンアセット型3PLは、自社倉庫やトラックを保有していません。
そのため、以下のような特性があります。
・最適な倉庫をエリア・規模・温度帯などから選択可能
・荷量に応じて最適な作業人員を手配
・物量増減に合わせて、倉庫や配送サービスを自由に組み替え
つまり、自社で設備を持つ場合に発生する固定費を完全に“変動費化”できるのです。
中小企業にとって、物流の固定費は経営を圧迫する大きな要因。
ノンアセット型3PLはそのリスクを一気に取り除いてくれます。
2. 物流のプロが全体最適を設計してくれる
倉庫、輸送、人材、管理システム…。
物流は多くの要素が複雑に絡み合うため、最適化には専門知識が欠かせません。
ノンアセット型3PLは、特定の倉庫やトラックに縛られないからこそ、
・複数倉庫の比較検討
・最適な配送網の構築
・現場に合わせた作業設計
・コストシミュレーション
・業務KPIの設定・改善
など、“企業にとって本当に最適な物流”をゼロから設計し直すことが可能です。
これは、単に倉庫を提供するだけのアセット型3PLにはできない大きな強みといえます。
3. ブラックボックス化しがちな物流を“見える化”できる
物流は属人化しやすい分野。
「いつの間にか作業コストが膨れていた」「配送費の相場が分からない」
という悩みはよくあります。
ノンアセット型3PLは、以下のような対応を通して、物流の透明化を実現します。
・作業工程の分解
・コスト構造の可視化
・入出荷実績のデータ化
・配送コストの相場と比較
・物流KPIのレポーティング
特に中小企業は、物流を“なんとなく”で運営しているケースが少なくありません。
プロが入り、工程を見える化するだけで、ムダなコストが顕在化し、改善余地が一気に広がるのです。
■ コスト最適化につながる主な効果
ノンアセット型3PLを活用すると、具体的にどんなコスト改善が起こるのでしょうか？
代表的な効果を紹介します。
1. 倉庫費用の最適化
・必要な坪数だけ借りられる
・物量の増減に合わせてスケール可能
・固定費 → 変動費へ転換
「閑散期にスペースが余っている」「繁忙期だけ増やしたい」などの
悩みを柔軟に調整可能です。
2. 配送コストの削減
ノンアセット型3PLは、多数の配送業者・路線便・軽貨物とのネットワークを持つため、
・最適な運賃の選択
・配送会社の比較
・梱包サイズ削減による送料最適化
・複数拠点による距離短縮
などにより、配送費を平均10〜20%削減できるケースも珍しくありません。
3. 作業人件費の変動費化
物流現場の人材確保は年々難しくなっています。
ノンアセット型3PLは、人材派遣や業務請負を併せて提供できる企業も多く、
・必要な人数を必要な日だけ確保
・作業量に応じて人員調整
・教育済みスタッフの投入で品質も安定
これにより、自社で雇用するより人件費のリスクを大幅に軽減できます。
4. 在庫回転率の向上
プロが在庫管理を行うことで、
・不動在庫の削減
・在庫の適正在庫化
-入出庫精度アップ
・欠品・過剰在庫の防止
といった改善が進み、キャッシュフローにも良い影響が出ます。
■ 中小企業がノンアセット型3PLを導入する際のポイント
せっかく3PLを導入するなら、成果を最大化したいものです。
そこで、導入前に押さえておきたいポイントを紹介します。
1. “自社が抱える本当の課題”を把握する
・コスト高？
・業務負荷？
・配送の遅延？
・在庫管理？
課題を整理すると、3PLの役割が明確になります。
2. 物流全体を任せる覚悟を持つ
部分的な改善だけでは、大きなコストメリットは生まれません。
入荷・保管・出荷・配送まで、全体管理を委託する方が成果が出やすい
傾向があります。
3. 現場改善のPDCAを継続できるパートナーを選ぶ
・定期レポート
・KPI管理
・改善提案の頻度
・物流戦略の相談可否
単なる業務委託ではなく、共に物流を育てていける企業かどうかが重要です。
■ ノンアセット型3PLは“攻めの経営”を実現する武器になる
物流コストの最適化は、単なる経費削減ではありません。
・経営の安定化
・販売機会の創出
・顧客満足度の向上
・新規事業の推進
など、企業の成長に直結する効果が期待できます。
特に中小企業は、経営資源が限られているからこそ、外部のプロを活用することで大きなレバレッジがかかります。
ノンアセット型3PLは、倉庫や車両に縛られない自由度の高さを武器に、
**企業ごとのベストな物流設計を提供できる、まさに“最も合理的な物流の形”**です。
■ まとめ：中小企業の物流改革はノンアセット型3PLで加速する
最後にポイントを整理します。
・ノンアセット型3PLは固定費を削減し、物流を変動費化できる
・配送費・倉庫費・人件費など多方面のコスト最適化が可能
・物流の見える化で業務改善が進む
・中小企業こそ“柔軟な物流外部化”の恩恵が大きい
・プロの視点でサプライチェーン全体を見直せる
物流は企業の“収益構造”そのものを左右する重要領域。
だからこそ、専門パートナーであるノンアセット型3PLを活用し、
効率的で持続可能な物流体制を構築することが、これからの中小企業の
成長戦略に欠かせません。