サプライチェーンとは?その意味や導入のメリット・デメリットを解説!
2021.01.19
小売業や製造業など、モノを売ったり、作ったり、あるいは流通するという仕事をしている方なら、誰もが一度は必ず耳にするであろう「サプライチェーン」・「サプライチェーン・マネジメント」。
モノを生産者から消費者へとスムーズかつスピーディに流通させるためにも、この二つはしっかりと理解しておくことが必要ですが、理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、サプライチェーン・サプライチェーンマネジメントについて詳しく解説していきたいと思います。
●サプライチェーンとは?
サプライチェーンとは、商品や製品が消費者に届くまでの一連の流れのことを言います。
具体的な流れの内容は、原材料や部品の「調達」、商品の「製造」、「在庫管理」、「配送」、「販売」、「消費」です。
サプライ(Supply)は「供給」という意味で、このサイクルがチェーン(鎖)に見立てられることから「サプライチェーン」と呼ばれています。
例えば、コンビニエンスストアのおにぎりを思い浮かべてください。
まず、おにぎりの主な原材料であるお米が、農場で生産されます。
これが農協などの集荷販売業者に届き、そこから中食事業者が仕入れて加工し、おにぎりを製造します。
この時中食事業者は、コンビニ側から受けた「月にこれぐらい欲しい」といったオーダーに合わせて量を調節しながら製造・出荷し、店舗に並びます。
そして店舗に並んだおにぎりを、消費者が購入します。
このように、おにぎりが実際に消費者の手元に届けられるには、生産者、農協などの集荷販売業者、中食事業者、小売店(コンビニエンスストア)といった様々な業者を介しており、この業者たちによってサプライチェーンが構成されていると言えるでしょう。
さらにもう一つ、サプライチェーンを理解するにあたって重要なのが、この流れが必ず一方通行ではないということです。
「商品や製品」は生産者から消費者へと流れていきますが、消費者から生産者へと逆方向に流れていくのが「情報」です。
この情報というのは、サービスの品質向上のためやマーケティングの戦略に役立てるための情報です。
例えば、あるユーザーがネットショップで机を購入したとします。
ユーザーは購入後、実際に使ってみて、その使い心地やネットショップのサービス対応などの口コミを投稿します。
この口コミが、サプライチェーンにおける「情報」です。
良い口コミなら、他のユーザーがその口コミを見て購入してくれるかもしれませんし、悪い口コミであっても、それを元にショップ側が改善点を割り出すことができ、結果的にそれがサービスの向上に繋がっていきます。
つまり、サプライチェーンにおいて流れてくる情報というのは、たとえ内容が良くても悪くても、次に生かすことが可能なのです。
そして近年、このサプライチェーン全体の流れを最適化し、管理する取り組みのことをサプライチェーン・マネジメント(SCM)と言います。
次で詳しく解説していきましょう。
●サプライチェーン・マネジメントとは?
おにぎりのサプライチェーンについてお話した通り、サプライチェーンは様々な業者によって構成されています。
様々な業者が関わり合いながら、消費者に商品や製品を正確かつスピーディに届けるためには、企業間ではもちろん企業内(生産部門と販売部門の間など)でのやり取りを最適化させる必要があります。
このように、サプライチェーン全体を最適化して、供給の効率化を図ろうとする取り組みのことを「サプライチェーン・マネジメント(SCM)」と言います。
例えば、小売店等で蓄積したレジのデータや販売・受注実績を共有することで、消費者の需要を細かく予測して過剰在庫を防ぐなど、調達プロセスの最適化を図ることができます。
●サプライチェーン・マネジメントのメリット&デメリット
ここからは、サプライチェーン・マネジメント(SCM)を行う上で、どのようなメリットやデメリットがあるのかを見ていきます。
■メリット■
・在庫管理の最適化
在庫というのは、ゆくゆくは現金化する企業の資産です。
つまり、在庫数が多ければ多いほど手元に残せるお金が少なくなり、少なくなればなるほどお金が増えていきます。
しかしかといって、在庫数を少なくしてしまっては供給が追い付かなくなってしまうため、多すぎず少なすぎずといった適度な量を保管しなければいけません。
ここでサプライチェーン・マネジメントを行うことで、在庫の見える化が可能となり、自然と「適正な在庫」を管理することができます。
・リードタイムの削減
リードタイムとは「作業開始から終了までの時間」を指す言葉です。
当然ながら、仕入れにも製造にも販売にもすべての業務にリードタイムがありますが、ここを短縮できれば、ニーズの高い商品をスピーディに供給することができます。
・売上を最大化できる
上記でお伝えした、在庫の管理の最適化とリードタイムを減らすことができれば、機会損失が削減され、自然と売上も向上します。
■デメリット■
・システムの導入に時間・金銭・人材のコストがかかる
サプライチェーン・マネジメントを導入する時は、必要なソフトウェアのためにお金が必要だったり、課題解決の為に人を新たに雇ったりといった金銭的・人的コストがどうしてもかかってしまいます。
また、様々な業者が関わっていることから、その業者すべてに同じシステムの導入・運用が求められるため、すぐに実現できるというわけでもなく、時間もかかります。
・需要の裾野が広がりにくい
在庫管理や作業の効率化を考えるがゆえに、販売や在庫全体のデータだけを見てしまうと、需要の裾野が広がりません。
例えば、関東ではよく売れているけど関西では馴染みがなく知られていない、だから売れない(=在庫が増える)といったように、地方によってこの商品は売れる・売れないということがあります。
全体で見れば効率化ができていて、売上も好調であったとしても、このように特定の地域だけで見てみると売上が落ちているということもあり得るのです。
そのため、全体のデータだけを見て判断せずに、地域特有の需要を知るなど個別のデータもしっかり精査することが大切です。
●まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、サプライチェーン・サプライチェーンマネジメント(SCM)について解説しました。
SCMはほとんどの企業で行わなければならない取り組みであり、いつかはあなたが担当者となるかもしれません。
そうなった時のために、サプライチェーンについてしっかり理解しておくようにしましょう。