物流・運送業界で有利になる資格と難易度について解説!
2024.07.29
物流と聞くと「モノを運ぶ」というイメージが強いかと思いますが、それだけではありません。
様々な工程があり、それぞれに専門性が求められます。
今回は物流・運送業界で有利になる資格と取得の難易度について解説していきますので是非参考にしてください。
資格の必要性について
物流には「モノを運ぶ」以外にもさまざまな機能や役割を持っており、主な機能として、輸送・保管・荷役・包装・情報・流通加工の機能があります。ここで「物流における6大機能」を紹介します。
・輸送
トラックや鉄道、船、飛行機などを使い、商品を移動させること
・保管
商品受け渡し日まで、適切な環境下で管理すること
・荷役
荷物の積み込みや積み下ろし、ピッキングなどの業務
・包装
商品が破損しないように梱包すること
・情報
識別番号などでシステム管理し、商品や輸送状況を管理する業務
・流通加工
商品の検品やタグ付けなどの加工作業
効率的に業務を行うために重要な役割を担っており、それぞれに専門性が求められるため、業界知識や経験を持っている人材が歓迎されます。
それぞれで求められる専門知識や技術を証明できる資格があると転職時やキャリアアップにも有効です。
資格の種類
物流・運輸関連の資格を紹介する前に、そもそも資格にはどのような種類があるのかみていきましょう。
資格には、「国家資格」「公的資格」「民間資格」という3つの種類があります。
・国家資格
国家資格とは、国が認めた資格のことです。
法律に基づき国や国の委託機関が試験を実施しているため、社会的信用が高く、公的資格や民間資格よりも難易度が高い傾向があります。
医師や弁護士、公認会計士など資格を持つ人だけができる「業務独占資格」と、中小企業診断士やマンション管理士など資格を持つ人のみ名乗ることを許された「名称独占資格」の2種類があります。
・公的資格
文部科学省や経済産業省などの官庁や大臣が認めた資格や検定のことです。
所轄省庁や大臣の認定した基準によって、地方自治体や民間企業などの機関が試験を行っており、取得難易度は国家資格よりもやや低く、民間資格よりも高い、中間的な立ち位置となります。
国家資格のような法律上の規制はありませんが、公的に認められた資格であるため社会信用度も高く、公的資格を持っていると就職や転職に有利になります。
公的資格の例としては、簿記検定や秘書技能検定、実用英語技能検定、ロジスティクス管理、手話通訳士などがあります。
・民間資格
民間団体や学校、企業が一定の基準で認定する資格です。
法律規制はありませんが、社会的ニーズに合った資格が多く、採用時に必須とされるものや、有効期限がおり更新が必要なものもあります。認知度や社会的信用度、難易度は資格によって様々です。
民間資格の例としては、TOEIC、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)、臨床心理士、物流技術管理士などがあります。
物流関係の資格の種類とは?
資格自体の違いが分かったところで、ここからは物流関係の資格を詳しく紹介していきます。
物流に関する資格は、業務内容によって「現場系分野」「管理系分野」「国際物流関連の分野」に分類できます。
≪現場系分野の資格≫
現場系分野の資格とは、物流倉庫や輸送など実作業に伴う資格のことです。
・フォークリフト運転技能者
保管や荷役といった作業でフォークリフトを運転する人に必要な資格です。全国の都道府県労働基準局安全課などが運営し、発行している国家資格です。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験/実技試験
【受験資格】18歳以上
【難易度/合格率】95%程度
【費用】2~5万円程度
・危険物取扱者
ガソリンなどの危険物を一定数量以上取り扱う際、必要な資格です。「甲種」「乙種」「丙種」の3種類があり、種類ごとに取り扱える危険物の範囲が異なります。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】なし(甲種は実務経験や学歴など一定の条件あり)
【難易度/合格率】甲種:約40%、乙種:約45%、丙種:約51%
【費用】甲種:6,600円、乙種:4,600円、丙種:3,700円
・消防設備士
消火器や火災感知器といった消防関連の設備を点検、整備、工事する際に必要な資格です。消防設備の点検・整備・工事といった多くの業務が可能な「甲種」、点検・整備のみ対応可能な「乙種」の2種類があります。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験/実技試験
【受験資格】甲種:実務経験や学歴など一定の条件あり、乙種:なし
【難易度/合格率】甲種:約30%、乙種:約35%
【費用】甲種:6,600円、乙種:4,600円、丙種:3,700円
・自動車免許(大型、中型、大型特殊、けん引など)
いわゆる普通自動車免許を持っている方は多いですが、物流の現場では、「大型」「中型」「大型特殊」「けん引」といった特殊車両の運転免許が必要なケースが多く見られます。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験/実技試験
【受験資格】大型:21歳以上、中型:20歳以上、大型特殊:18歳以上、
けん引:18歳以上
※視力等の状態確認、自動車免許の有無、
免許取得後の経過年数などの条件あり
【難易度】低め(けん引は高め)
【費用】大型:4~40万円程度、中型:4~20万円程度、
大型特殊:7,000~20万円程度
≪管理系分野の資格≫
倉庫内や事務所などで物流が適切に流れているかを確認したり、会計や書類のやり取り、管理業務に関連する資格が該当します。
・運行管理者(貨物)
安全に輸送を行うために、常務割の作成・管理やドライバーへの指導監督などを行う資格です。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】実務経験などが問われる
【難易度/合格率】30%程度
【費用】6,000円+システム利用料660円
【運営組織】運行管理者試験センター
・倉庫管理主任者
倉庫内の火災防止や安全作業、作業員の労務管理関連の業務に携わる人に必要な資格です。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】なし
【受験資格】なし
【難易度】講習によって取得
【費用】12,000円
【運営組織】日本倉庫協会
・【2級3級】ロジスティクス管理
ロジスティクスの企画・管理などの業務遂行に必要な知識を証明する検定試験です。
【資格の種類】公的資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】なし
【難易度/合格率】2級:60%、3級:63%
【費用】2級:7,700円、3級:6,200円
【運営組織】中央職業能力開発協会
・【2級3級】ロジスティクスオペレーション
輸送・保管・荷役・包装流通加工などのオペレーション業務に必要な知識を証明する検定試験です。
【資格の種類】公的資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】なし
【難易度/合格率】2級:46%、3級:48%
【費用】2級:7,700円、3級:6,200円
【運営組織】中央職業能力開発協会
・ロジスティクス経営士
新たなサービスや事業企画、戦略立案と実行などの能力を証明する資格です。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】論文試験/面接試験
【受験資格】ロジスティクス関連の実務経験5年以上の部長職クラスなど
【難易度】中
【費用】一般550,000円(協会会員440,000円)
【運営組織】日本ロジスティクスシステム協会
・物流技術管理士
物流技術者に必要な物流・ロジスティクス全域の専門知識や、マネジメント技術を証明する資格です。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】客観試験/論文試験/面接試験
【受験資格】実務経験などが問われる
【難易度/合格率】70%
【費用】一般605,000円(協会会員495,000円)
【運営組織】日本ロジスティクスシステム協会
・グリーンロジスティクス管理士
ロジスティクスの視点から、環境負荷の低減施策立案、推進、評価を行える能力を証明する資格です。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】レポート試験/面接試験
【受験資格】なし
【難易度】低
【費用】約300,000円
【運営組織】日本ロジスティクスシステム協会
・包装管理士
包装や梱包に関する知識や技能を証明する資格です。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】講義後に筆記試験
【受験資格】高卒以上の22歳以上かつ満3年以上の
包装関連の実務経験を有する方 など
【難易度/合格率】約85%
【費用】一般531,300円(会員328,900円)
【運営組織】日本包装技術協会
・ロジスティックス・マテリアル・ハンドリング管理士
物流に関する商品集荷や包装、通関、輸送といった一連のプロセスにおける管理能力や効率化の提案、実施能力を証明する資格です。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】筆記試験なし
【受験資格】実務経験などを問われる
【難易度】受講後取得可
【費用】一般220,000円(会員165,000円)
【運営組織】日本マテリアル・ハンドリング協会
・物流経営士
経営の基礎から物流に関する幅広い知識を証明する資格です。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】経営管理職経験3年以上などの受講資格あり
【難易度】低
【費用】一般400,000円(会員350,000円)
【運営組織】全日本トラック協会
≪国際物流系の資格≫
輸出入に関する資格や貿易実務に必要な知識を学べる資格などが挙げられます。
・通関士
税関へ輸出入品の申告など「通関手続き」を行うために必要となる資格です。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】なし
【難易度】高
【費用】3,000円
【運営組織】財務省
・海技士
コンテナなどを積む大型船舶を操縦する際に必要な資格です。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験/口述試験/身体検査
【受験資格】所定の乗船履歴が必要
【難易度/合格率】合格率3〜4割
【費用】筆記試験:2,700円~7,200円(級による)、
口述試験:3,000円~7,500円(級による)、
身体検査:870円 ※別途登録料
【運営組織】国土交通省
・貿易実務検定
貿易実務の能力や知識を証明する検定試験です。検定はA級・B級・C級の3レベルに分かれており、最も上位のAの級は約3〜4年の実務経験やマネジメントに関する業務の証明として有効です。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】なし
【難易度】低
【費用】A級:11,600円、B級:6,800円、C級:5,700円、
A級・B級併願:18,400円、B級・C級併願:12,500円
【運営組織】日本貿易実務検定協会
・国際航空貨物取扱士(IATA/FAATAディプロマ)
航空貨物の輸送に関する事務手続きや梱包作業などの技能を証明する資格です。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】コースごとに異なる
【難易度】難易度は中程度ですが、試験は全て英語です
【費用】48,000円〜57,500円(コースごとに異なる)
【運営組織】国際航空運送協会(IATA)
・国際物流管理士
国際物流に関する知識やマネジメント技術を証明できる資格です。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】筆記試験/レポート試験
【受験資格】2年以上の実務経験
【難易度】中程度
【費用】一般550,000円(協会会員440,000円)
【運営組織】日本ロジスティクスシステム協会
まとめ
今回は物流・運送業界で有利になる資格と取得の難易度について解説しました。
有用な資格を取得することで仕事の幅が広がり、キャリアアップ・収入アップにもつながります。
それぞれの資格の特徴を知り、役立つ資格を取得するためにぜひ参考にしてください。