【注目】ピッキング作業を効率よくこなす為のポイント
2024.07.22
ピッキング作業は物流業界において極めて重要な役割を果たしており、その効率向上は物流全般のコスト管理に直結します。
このピッキング作業の効率を高めるとさまざまなコスト削減につながります。
そこで、今回は物流におけるピッキング作業の効率を改善する方法について解説していこうと思います。
ピッキング作業って?
ピッキングとは、在庫管理システムを利用し、倉庫内の商品を集荷場所に集める作業を指します。この作業は、自社倉庫で商品の在庫管理や保管を行う企業にとって、重要な業務の一つです。ピッキングには主に、トータルピッキングとシングルピッキングの二つの方法があります。
トータルピッキングは、複数の受注に対して、同じ商品をまとめてピッキングする方法です。少数の品種で、複数の出荷先がある場合に効率的です。一方、シングルピッキングは、受注ごとに個別にピッキングする方法で、多様な商品を扱う場合に適しています。
ピッキング作業は出荷商品の効率的な準備がカギとなりますが、企業が自社で行う場合と、アウトソーシングする場合では作業内容が異なります。どちらの場合でも、物流業界では商品の流れを正確に把握する必要があり、事業の運営において重要な役割を果たしています。
一般的なピッキングの工程
商品の出荷作業は、まず「ピッキングリスト」と呼ばれる出荷指示書を作成することから始まります。このリストには、正確な商品名、品番、出荷数量などの情報が記載されています。
具体的な作業手順は以下の通りです。
1.入庫
商品が倉庫に到着し、入庫作業と入庫検品が行われます。
2.在庫更新
入庫作業後、在庫管理システムが更新されます。
3.ピッキング
出荷指示に基づき、倉庫内で正確な商品をピッキングします。
4.梱包
ピッキングされた商品を適切に梱包します。
5.出荷
出荷データを加工し、送り状を出力して商品を出荷準備します。
これらの工程を順番に進めることで、効率的な商品の出荷が実現されます。
「摘み取り方式」と「種まき方式」
ピッキング作業においては、ピッキングリストに記載された正確な商品情報が基本です。この作業は、商品の数量を確認し、配送先に向けて車両に積み込むまでの手順で、高度な正確性が求められます。
効率的なピッキングを実現するためには、倉庫のレイアウトや商品の種類、数量に応じて、「摘み取り方式」と「種まき方式」の選択があります。摘み取り方式(シングルピッキング)は、注文ごとに商品をピックアップする方法で、配送料や出荷頻度が少ない商品に適しています。一方、種まき方式(トータルピッキング)は、在庫から一時的に商品を集め、分別して配送先に合わせる方法で、少数の配送先に多くの商品を一括して出荷する際に有効です。
さらに、ベルトコンベア併用方式やデジタルピッキング、ピッキングカートなどの技術も導入され、作業効率を向上させる取り組みが進められています。
ピッキング作業の効率考える理由って?
物流管理における主要な目標の一つは、コストの削減です。そのため、物流倉庫におけるピッキング作業は多岐にわたる商品を扱い、商品の特性を理解することが効率的な作業の鍵となります。
したがって、作業効率を向上させることがコストダウンの鍵で、具体的には、「標準的なピッキング手順」が円滑に進行すればするほど、作業の効率が高まります。
作業の効率化を図る様々な手法
「ピッキング作業」は物流業務において中心的な役割を果たし、生産性を向上させることで無駄なコストを抑える重要な要素です。
効率化を図るためには、さまざまな改善方法が考えられます。さて、早速具体的な手法を見ていきましょう。
■「動線」の確認
ピッキング作業の流れは以下の通りです。
①商品を保管するために、棚に移動します
②在庫された棚から商品を探します
③棚から商品を取り出します
④出荷場所に商品を移動します
これらの作業を効率的に行うためには、作業時間を短縮するポイントを確認します。特に移動時間を短縮することで無駄な動きを減らすことが重要で、例えば住宅のキッチンでの作業動線が短ければ料理時間も短縮できるのと同様です。
その後、以下の点を見直すことが考えられます。
・商品棚への移動時間を短縮する方法を検討
・棚から商品を探す時間を最小限に抑える工夫
・商品を棚から取り出す時間を短縮
・出荷場所までの移動時間を短縮することで、商品の流れがスムーズになる
■マニュアルの見直し
倉庫での保管管理は、管理方法や担当者によって左右されると思われがちですが、実際にはピッキング作業の効率化には作業の流れが重要です。作業範囲が限定されており、反復される作業を効率よく進めるためには、明確な「業務マニュアル」が欠かせません。
業務マニュアルが整備されている場合、スタッフは一貫した手順で作業を行うことができ、効率が向上します。逆に、マニュアルがあるものの実際の作業が自己流であったり、スタッフごとに異なる方法を使用している場合、ミスが発生しやすくなり、作業効率が低下します。したがって、スタッフと管理者が共通の業務マニュアルを参照し、同じ手順と方法で作業を行っているかどうかを確認することが重要です。
■負担の少ない作業環境づくり
物流管理を担う各スタッフが負担の少ない方法で作業できるように、労働環境の整備も重要です。特に物流コストを抑える観点から、作業範囲や時間の見直しを通じて、スタッフの負担を最小限に抑える取り組みが求められます。
具体的には、以下のような対策が考えられます。
・商品の在庫管理と保管方法の見直し
・安全性を重視した機材や装置の導入
・作業場の空調設備の整備
・スタッフのための休憩室の設置と休憩時間の確保
・シフト管理に休憩時間を含めた配慮
・女性スタッフ向けの専用休憩室の検討
これらの改善策により、各スタッフが快適な作業環境で仕事を行えるようにすることで、作業効率の向上が期待されます。
■まとめ
今回は、ピッキングの概要や効率化のポイントを解説しました。
ピッキング作業の工程はシンプルなものですが、無駄が多いとリードタイムが長くなり顧客満足度や直接的に売り上げに影響する可能性も大きくです。その為、上記で挙げたマニュアルの徹底や自動化、スタッフさん1人1人の業務効率化を考えることが大切になります。
また手作業によるピッキングは、ミスが発生しやすく作業者ごとに正確性やスピードが左右されやすい点も課題といえます。業務効率化のためには、作業環境を改善することが重要です。
AIが浸透してきている昨今ですが、人の手でしか出来ない作業も残っているため、改めて作業内容を見直してみるのもいいかもしれませんね。