新型コロナウイルスによって物流業に訪れている変化とは?
2021.02.22
2020年3月以降、突然新型コロナウイルスとの未曽有の戦いが始まりました。
世界中で次々とロックダウンが起こったことで輸出入に影響を受け、日本も緊急事態宣言が発令され、多くの小売店が営業自粛を余儀なくされました。
この影響で、これまでインターネットの普及で仕事量が増えていた物流業界は、
どう変化したのでしょうか。
この記事では、コロナによって物流業界に訪れた変化について見ていこうと思います。
●コロナによる物流業が受けた影響・変化
①輸送量の増減
新型コロナウイルスの影響で、最初にストップしたのは中国からの資材輸入。
配送量が大幅に減ったため、休車をしなければいけない状況になりました。
また、休業要請が出たことで営業自粛を余儀なくされた外食産業や観光業が厳しい状況に陥っています。
レストランやホテルが休業となったため、食料や資材も不要となったことで、芋づる式に物流業も仕事が減ってしまいました。
業種別に見てみると、外食や観光の他、特に航空・旅行・ゼネコンなどの建築・製造等の業種へ主にモノを運んでいる業者に仕事が減ったという傾向があります。
逆に、マスクや除菌アルコールなど、感染症を予防する商品や、巣ごもり需要から家で
食べられる食品などを運んでいる業者は売上を伸ばしています。
②ネット通販利用の増加による物量の増加
新型コロナウイルスの感染を防止するため、店員がいて対面で接客を行う実店舗ではなく、PCやスマートフォンを使って買い物をする人が増えています。
コロナの終息がまだまだ見えず長期化する可能性があるため、今後もますますネット通販の需要は高まるでしょう。
それに伴い、個人宅への配送も多い状態が長く続くと考えられます。
③非対面での荷物の受け取り増加
感染予防のため人との接触を減らそうと、荷物を受け取る際のサインなどを省略する
取り組みが積極的に行われるようになりました。
また、直接荷物を受け取るのではなく、あらかじめ指定された場所に荷物を置くという「置き配」や宅配ボックスの利用など、非対面での荷物の受け渡しが今後も増えてくるでしょう。
④旅客機での荷物輸送
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、他府県や海外への移動を避ける人が増えたため、国内線・国際線ともに利用者が減少しています。
そのため、旅客機の座席に荷物を置いて運ぶという取り組みを行なっている企業も
あります。
●コロナによって仕事が減った・増えた運送業者の違い
前章でお伝えした通り、ネット通販の利用が増えたことで物量も増えたため、物流業界は仕事量も増加したと思われがちですが、中には仕事が減ったという運送業者もいます。
その運送業者にはいくつか共通点があり、主なものとしては「1社、もしくは少数の荷主としか取引がない」ことや、「特定の業種のみと取引している」ことが挙げられます。
例えば、前章の①でご紹介した中国からの資材輸入の減少。
日が経つにつれ、中国に限らずいろんな国との取引が物理的に遮断されたことで、
休車を余儀なくされた業者も多くいます。
近年グローバル化が進んでいることから、海外との取引を中心に拡大していたところは
大きく影響を受けています。
また、営業自粛となった飲食店や宿泊施設などがメイン顧客だった業者も、大きく影響が出ています。
これは、今まで普通に配送していた食料や資材が、営業自粛や来店者数の減少で不要になったためです。
逆に影響を受けなかったのは、「海外の取引のみ」や「飲食店・宿泊施設のみ」といった限定的ではなく、複数かつ多数の荷主やさまざまな業種の顧客と取引している運送業者は、他の顧客で賄えるため、そこまで大きな影響は受けませんでした。
特に、医療機関との取引、食品、日用品、ネット通販などを取り扱っている業者は何とか生き残れています。
連鎖倒産のリスクを避けるためにも、一つの会社・一つの業種だけに限定せず、分散させることも経営上重要な戦略となることが、今回のコロナ禍のような不測事態が起きたことで改めて分かったところも多いでしょう。
●まとめ
コロナの影響は長期化すると見られており、それに伴いテレワーク・インターネットを
使っての買い物・テイクアウトやデリバリーの利用など生活様式の変化が求められています。
これにより、事業者による違いはあるものの、物流業界にも大きな変化が起きています。
毎日生きることに必死という人もたくさんいるでしょう。
だからこそ1日も早くこの状況が収束し、元の生活に戻ることを願うばかりです。