物流業界とマテハン機器の変化について解説!物流サービスは今後どう変わる?
2021.03.08
社会の発展により、これまでいろんな変化をしてきた物流業界。
昨今は特に新型コロナウイルスの影響で、家にいながらネットで何でも注文する人が
増えたことで、またさらに大きな変化が起きています。
その影響はもちろん、物流業界を支えてきたマテハン機器にまで出ています。
今回は、物流業界とマテハン機器の変化について詳しく解説していきたいと思います。
●マテハン機器には、自動倉庫も物流ロボットも含まれる
マテハンとは、「マテリアル・ハンドリング」の略で、モノを保管したり運んだりなどの物流業務を効率化・省力化・自動化するための機械や設備全般のことを指します。
物流現場では、運搬用・仕分け用・保管用など様々な用途の機器が活用されています。
【マテハン機器の例】
運搬:フォークリフト、ベルトコンベア、ローラーコンベヤ、垂直搬送機、
無人搬送機など
仕分け・収集:自動仕分けシステム、ピッキングカート、ピッキングロボット
保管:立体自動倉庫、移動ラック、固定ラック
など
主なマテハン機器は上記の通り、倉庫内に配置する機器や設備などを連想するかもしれませんが、「自動倉庫」や「物流ロボット」も、マテハン機器の一種です。
・自動倉庫
自動倉庫とは、モノの収納や取り出し自動化した倉庫のことで、AS/RS・ASRS(Automated storage and retrieval system)や、無人倉庫とも呼ばれます。
メカトロニクス技術を活用し、これまで人が行なっていた倉庫内での作業を
自動化しています。
自動倉庫の種類としては、パレット単位での製品や部品を保管するのに最適な
「パレット自動倉庫」、形や様式が定まっていない製品や小物をバケット内に保管できる「バケット型自動倉庫」、コンテナ、段ボールなど形や重さにとらわれず保管できる
「フリーサイズ自動倉庫」など様々あります。
自動倉庫を活用することで得られるのは作業効率の向上です。
人間の1000倍の作業効果を発揮すると言われており、また棚の設置にも人の手が届くぐらいの高さを考えなくても良いため、空間効率も上がります。
また、冷凍・冷蔵商品を人が扱うこともなくなることで、作業の安全性を高めることが
できます。
・物流ロボット
物流ロボットは、ピッキングや仕分けなど人の力で行われていた作業のうち、単純作業を担っています。
特に、倉庫内で商品を「探す」、探すために「歩く」といった作業をするロボットの
実用化が進んでいます。
●物流の変化と使われる機器の移り変わり
日本では1970年代半ば~1980年代にかけて工場内での自動化が進みました。
この時代は、製造されるモノの種類が限定的であったこと、一度に作られる量が多くあったことが特徴的で、取引はBtoBがメインでした。
そのため、一品大量の商品をパレット単位で処理していかなければ追い付かず、
必然的に工場での自動倉庫の導入へと至ったのです。
その後はBtoCが増えたり、消費者のニーズが多様化したり、ネット通販の利用者が増えたことにより、一品大量ではなくたくさんの種類のモノがたくさん動くようになりました。
そのため、多種類のアイテムから特定のモノをピッキングする、消費者それぞれに合わせて梱包を行うといった細やかな作業が必要となってきました。
しかし自動倉庫は、一品大量・BtoB物流の現場で使用することを前提として作られたものなので、自動倉庫でこの対応をするのは困難でした。
結果、倉庫内の作業の大部分は人が行い、運搬などの単純作業はマテハン機器を使用するという体制になりました。
その後も、EC事業に参入する企業は増え、物流倉庫では一層細やかで迅速な対応が
求められることになりました。
特に昨今では、新型コロナウイルスの影響で巣ごもり需要が高まり、業務量が従来の
2~3倍にまで膨れ上がっているという倉庫もあります。
しかし物量が増えるその裏で、人手不足の問題が浮かび上がっていました。
日本の生産年齢人口は1990年以降下がり続けていますが、何より倉庫系の仕事は、
物流センターの立地や業務内容からなかなか人が集まりにくい業務と言われています。
この問題を解決する鍵として注目されたのが物流ロボットです。
ロボットを使っての業務は様々な業界で進んでいますが、物流倉庫内でも同様に
ロボットの活用が進んでいます。
●ロボット導入のメリット
・作業効率が上がる
モノを運んだり移動させるといった作業をロボットに任せることで、スタッフは
広い倉庫内を歩き回る必要がなくなります。
歩き回らなくてもよくなれば、その分スタッフは、人間の判断が必要となる
「見る・取り出す」作業に集中することができ、スタッフの負担を
減らすことができます。
また、人間は8時間以上働けませんが、ロボットであれば人間が休んでいる間でも
稼働させることができます。
人の手だけではこなせない量をこなせるだけでなく、複数の荷主と取引している事業者であれば、ロボットをシェアすることでより作業効率を上げることができます。
・柔軟性が高い
長年物流業務を行なっていると、作業量が増えたり倉庫をリニューアル・または移転したりなどといった変化も起こりえます。
人間の場合、その環境に慣れるのに時間が必要ですが、物流ロボットの場合だと
保管場所の広さ、棚の数などの設定を変更すればすぐに対応できます。
環境変化に柔軟に対応できるというところも、大きなメリットと言えるでしょう。
●まとめ
ECサイトの需要が高まり、人手不足が課題である現代にとって様々なメリットを
生み出してくれるのがロボット導入です。
しかし今時点の技術では、ロボット一つですべての自動化を叶えることは難しいため、
例えば棚入れやピッキングはロボット、検品や梱包ラインまではコンベアで運ぶ、
といったように、ロボットとその他のマテハン機器を組み合わせて自動化を進めると良いでしょう。