首都圏物流施設の需要・契約(内定)状況について徹底調査!
2021.03.29
近年、郊外に大型の物流施設がたくさん作られています。
これは、ネット通販の需要の高まりに応えるためだったり、地域の雇用を確保するため
ですが、最近では行政が「物流施設を作ることは街づくりの一つ」として考え、
物流タウン作りを進めている地域もあります。
その物流タウンに必要な大型物流施設が「マルチテナント型物流施設」と呼ばれるもので、特に首都圏で需要が高まっています。
●高まる首都圏のマルチテナント型物流施設の需要
少し前のデータですが、2019年は首都圏大型マルチテナント型物流施設の新規需要が、年間70万坪を超えました。
前年と比べると1.6倍にも跳ねており、まだ建物が完成していない物件でも入居の内定が進んでいます。
2020年に完成予定の首都圏大型マルチテナント型物流施設43万坪のうち、テナントの
入居が決定または内定した面積は49.7%と、半分近くに達しています。
首都圏大型マルチテナント型物流施設の新規物流施設の需要は、これまで高まったり
低くなったりと変動がありましたが、2019年は特に大きく伸びた年になりました。
●首都圏の物流需要を引っ張っているのはeコマース
物流施設の需要が大きく伸びた理由は、eコマースが新規需要を牽引していることに
あります。
事業用不動産の売買や交換などを行い、賃貸オフィスや貸倉庫などの物件検索サイトを
運営しているシービーアールイー株式会社の調査によると、2018年までの
契約テナントは、物流業(3PL)が61%と半分以上を占めていました。
続いて小売・卸売業が20%、eコマースは8%という割合だったため、それまでの
物流施設の需要は物流業(3PL)が主役だったと言えます。
しかし、2019年中の契約または内定テナントを見ると、eコマースが30%を占めるという結果となりました。
とはいえ、これまでトップを走っていた物流業の割合は44%と、依然としてまだシェアが高い数字となってはいますが、物流施設の需要がeコマースに移りつつあると言えるでしょう。
さらに詳しくeコマースの契約を見てみると、1件当たりの契約規模が大きいことが
わかります。
全テナントの1件当たりの平均契約面積はだいたい4,100坪ほどですが、eコマースは
約5,700坪で、全体平均より40%ほど規模が大きいです。
2019年中の契約や内定に限って見るとさらに大きくなっており、約6,200坪にも及んでいました。
●eコマースの規模が大きい理由
・物流センターの設備に投資ができる
ネット通販とは、そのサイトの使いやすさや見やすさだけが売上に直結するのではなく、物流センターがどれだけたくさんの量を捌けるかといった出荷能力と、出荷された荷物をスピーディかつ正確に対応できる宅配網がスムーズかどうかといったことも、
そのため、物流センターへの投資をできる限り行なっていることが規模の大きさに
繋がっています。
・倉庫内の機械化・自動化
eコマースの物流センターは扱う物の数が多いため、その量をピッキングして梱包するとなると多くの人手が必要となります。
しかし今日本では、高齢化社会と労働力人口が減っていることで人材の確保はますます
難しくなっているため、ロボットなどの最新テクノロジーの早急な導入を求められています。
そしてこのようなテクノロジーを導入するには一定以上の規模が必要となるため、
eコマースの物流センターはそれを見越しているのです。
●まとめ
新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続く中、eコマースの利用率の拡大は今後も
見込まれるため、物流施設のニーズはさらに高まる可能性があります。
よって、eコマースの物流需要の牽引は今後もしばらく続いていくでしょう。