物流業界注目の「ラストワンマイル」における課題と解決策を解説
2021.04.05
製造者から利用者の自宅などにモノが届けられる物流の「最後の区間」を
ラストワンマイルと言います。
物流業界においては、年々高まるネット通販の需要に応えるため、送料無料が
当たり前になりました。
そんな今の時代だからこそラストワンマイルは注目を浴び、そして課題も浮き彫りになっています。
今回は、ラストワンマイルにおける課題や解決方法について解析していきたいと
思います。
●ラストワンマイルとは?
先に少し記述しましたが、ラストワンマイルとは、注文者から見て最後の集荷場所から配送箇所(注文者の自宅など)までの区間のこと言います。
元々は通信業界で使われていた言葉でした。
「最後の1マイル」という意味ではなく、通販事業者などからお客様へ商品が届く
までの物流の「最後の区間」のことを意味しています。
●ラストワンマイルの課題
ラストワンマイルにおいて課題となっているのは、主に「人件費の高騰」です。
人件費がかかってしまう理由としては、
① 送料無料による人件費UP
② 再配達率増加による人件費UP
一つずつ詳しく見ていきましょう。
・送料無料による人件費UP
多くの通販サイトでは、商品発送の際にかかる費用を無料としています。
これは通販サイト側が売上を上げるための施策として行われていることですが、
商品がそもそも低価格であれば、配送にかかる費用を減らさない限り利益は
得られません。
配送にかかる費用を減らすためには、まずは運送会社への支払いを減らすことが
多く、これが運送会社の人件費高騰に繋がります。
人件費が上がれば、結果として利益率が下がってしまいます。
解決策としてコンビニに受取サービスを依頼したとしても、マージンが高く結局は改善されません。
つまり、運送会社がすべき対処としては、人件費を減らそうとするのではなく、「スムーズに返品の対応をしてくれる」など運ぶこと以外のサービスを充実させるといった、『有料でも安心できるから選ばれる』という価値を作り出すことが大事です。
・再配達増加による人件費UP
送料無料キャンペーンや、巣ごもり需要などでますます通販サイトを利用する人は増えました。
しかし、利用者が増えるとともに、不在による再配達も増え、今は平均20%(5件に1件)の割合で再配達されるようになっています。
この場合、重要なのは配達側と利用者とのコミュニケーションを
密に行うことです。
時間指定を細かくしたり、利用者がどこにいるのか・荷物が今どこにあるのかなどお互いの状況が把握できる可視化が必要かもしれません。
●ラストワンマイルの課題を解決する方法
ラストワンマイルにおける課題の解決に向けて、期待されているのがドローンを
使った配送サービスや、自動運転といったAIなどを利用した新しいテクノロジーです。
すでにヤマト運輸や日本郵便では実証実験を行っており、公道での運転は可能と言う結果を出しています。
しかし、ルール整備の壁もあることから、なかなか実用化のめどが立ちません。
そこで登場するのが、「輸配送管理システム」です。
輸配送管理システムとは、トラックの移動データの管理・燃料費や運賃などの経費の管理などをオンライン上で行えるというものです。
オンライン上で社内全体を見える化し、積載率や荷物状況などを把握することで、効率よい配車・運行などを行うことができます。
物流業務全般がスムーズに動けば、人件費を抑えたり、生産性や業務品質を高めることができます。
●まとめ
今回は、ラストワンマイルにおける課題や解決方法について解説してきました。
人件費を上げてしまう=結局利益率が下がるとなっては、いつまでたっても売上が立ちません。
まずは自社の再配達率の確認や、有料サービスについて検討し、そのうえで
管理システムの利用を考えて見ましょう。