物流大手10社の売上総利益は?物流業界の現状や労働環境などをご紹介
2021.09.13
物流業界では、年々ネット通販の需要が高まっています。
特に2020年からは巣ごもり需要が高まったことで、ますますネット通販を利用する人が増えています。
では今、どんな物流会社がどのくらい利益を得ているのでしょうか。
また、売上を伸ばす一方で、物流業界では今どんなことが起きているのでしょうか。
今回は、大手物流会社の特徴を売上総利益ランキングとともに紹介し、
物流業界の現状や労働環境について解説していきます。
物流業界の売上総利益ランキング
※2021年3月時点でのデータです。
1位:日本郵船(2331億円)
日本郵船は、東京都千代田区に本社を構えている海運業界の大手企業です。
定期船・不定期専用船事業、航空運送事業、物流事業、不動産業、一般貨物輸送事業、客船事業などを行っています。
企業で日本国外合わせて440か所以上の物流拠点を持っており、今後のさらなる
成長に期待がかかります。
2位:日本通運(1933億円)
日本通運は、東京都港区に本社を構えている物流業界最大手の企業です。
国内では1000を超える支店と営業所があります。
さらに海外にも拠点を持っており、国内だけなく海外でも活躍するグローバル企業です。
自動車や鉄道輸送、船や航空輸送など陸海空すべての経路の物流を行っています。
また、倉庫・通関・情報処理など複数の事業も行っています。
3位:ヤマトホールディングス(1573億円)
ヤマトホールディングスは、東京都中央区に本社を構えている大手企業です。
クロネコヤマトの宅急便でも知られる業界最大手です。
ヤマト=宅急便のイメージが強いですが、宅急便以外にもデリバリー事業や
フィナンシャル事業など、複数の事業も行っています。
また、物流業界全体で抱える労働環境の改善にも積極的に取り組んでいます。
4位:SGホールディングス(1488億円)
SGホールディングスは、京都市南区に本社を構えています。
佐川急便でも有名な企業であり、ヤマトと並んで宅配事業で広く知られています。
デリバリー事業はもちろん、ロジスティクス、海外・国際事業、不動産事業など
幅広い領域でも活躍しています。
5位:近鉄エクスプレス(1047億円)
近鉄エクスプレスは、東京都港区に本社を置く国際総合物流企業です。
ネットワーク・輸送スペースの確保力は業界トップクラスです。
コロナ禍ではワクチンの国際輸送も担っており、特に外資系大手顧客から高く評価されています。
6位:日立物流(857億円)
日立物流は、東京都中央区に本社を構えています。
システム物流事業(3PL)を始め、企業の物流システムの管理や構築を主に
行っています。
自社での物流だけでなく、他企業に向けた物流合理化について提案を行うなど、
物流コンサルティング業も手掛けています。
7位: センコーグループホールディングス(717億円)
センコーグループホールディングスは、東京都江東区に本社を置く物流企業です。
物流事業、商事・貿易事業、ビジネスサポート、ライフサポートの4つを主な事業としています。
物流事業は、総合スーパー・ドラッグストアなどの流通業界をはじめ、
化学製品などケミカル業界に展開しています。
さらに、海外に現地法人などの事業拠点を開設し、国内外をつなぐ複合一貫輸送や海外での物流センター事業も展開するなどグローバルな動きも見せています。
8位:日新(285億円)
日新は、神奈川県横浜市中区に本店を構える物流企業です。
物流事業では航空、海上貨物を扱っています。
特に海上貨物に関しては、NVOCCサービスをはじめ、大型プラント輸送にも豊富な実績があることから「国際複合一貫輸送のパイオニア」と呼ばれています。
9位:SBSホールディングス(283億円)
SBSホールディングスは、東京都墨田区に本社を置く企業です。
配送、倉庫・物流センター、流通加工から国際物流、そして3PLまであらゆる
物流ニーズに応えています。
また他にも、マーケティング・不動産・人材派遣など多角的に事業を展開しています。
10位:鴻池運輸(195億円)
鴻池運輸は、大阪市中央区に本社を置く総合物流会社です。
製造業やサービス業をサポートする請負サービスと、国内外であらゆるニーズに
応える物流サービスを展開しています。
請負サービスでは工場構内での生産工程を代行したり、医療機器の輸入から
配送までの一貫物流を請け負ったりなどさまざまなサポートを行っています。
物流サービスでは、自社倉庫の強みを生かしたさまざまな複合的サービスを
提供しています。
物流業界の現状
物流会社の売上順位は毎回大手が並びますが、他の物流会社も確実に業績を
伸ばしています。
その理由は何なのでしょうか?
物流業界の現状は今、どのようになっているのでしょうか。
・個配の数が急増している
今は、ネット通販の急速な普及によって個配の数が増えています。
ネット通販拡大の背景にはスマホの普及があり、場所を問わずどこからでも商品を注文できるようになったことが大きな原因です。
さらに、メルカリなど個人間でも取引を行うサービスやアプリの提供が始まったことも、個配の数が増えた要因の一つです。
このネット通販による個配需要は、今後もまだまだ拡大することが見込まれています。
需要の拡大に伴い、急激に業績を伸ばしている企業も少なくありません。
・続く人材不足
現状、ネット通販による個配需要の拡大に供給が追い付いていません。
多すぎる個配需要に対して、対応できる人材が確保できていないのです。
人手不足で業務が回らず、一人一人の負担が増えたことで離職者が増え、
さらに人材不足に拍車がかかっています。
業績好調の裏には人材不足という問題があり、どのように対処していくかが
物流業界の今後の課題でしょう。
物流業界の労働環境の改善
物流業界は好調なものの、労働環境については課題が多く残る業界です。
そのため、問題の解決に向けてさまざまな取り組みを行う企業が増えています。
・賃金値上げ
労働環境の改善策として、賃金を上げる企業が増えています。
増えすぎた業務に対応するには、それ相応の対価が必要です。
従業員のモチベーションを維持するため、業務量に相応した対価を従業員に払おうと考えているのです。
・配達日の制限
これまで物流企業は、ほぼ年中無休で配達をしている企業がほとんどでした。
しかし今は、日曜のみ配達を休みにするなど定休日をもうけることで、忙しすぎる業務を調整し、従業員に十分な休息が与えられるよう配慮している企業もあります。
かえって業務がたまるという懸念もある一方で、需要の落ち着きに一役買うとも
いわれています。
・業務の効率化
物流業界では急増する需要に対応するため、AIや最新技術を導入し
改善を急いでいる企業も多いです。
特にAI技術は注目されており、導入されれば業務の効率化が測れます。
AIはこれからますます発達していく技術のため、今後の動向には目が離せません。
まとめ
今回は、大手物流会社の特徴を売上総利益ランキングとともに紹介し、物流業界の現状や労働環境について解説しました。
こういったランキングで名前が出る企業は毎回決まっているものの、需要の拡大に伴い業績を伸ばす企業は増えています。
そのため今後は、これまであまり名を聞くことがなかった企業が伸びてくる可能性は大いにあるでしょう。