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内閣府が進めるSIPの一つ「スマート物流サービス」とは?その内容を解説!

内閣府が進めるSIPの一つ「スマート物流サービス」とは?その内容を解説!

2021.01.25

出典:内閣府SIPホームページ


ここ数年で、インターネット通販などの需要が高まっています。

特に今年は、新型コロナウイルスの影響でますます利用者は増えたことでしょう。

しかしここで浮かび上がったのが、物流の問題です。

インターネット通販の拡大で宅配のニーズが高まりましたが、少子高齢化などの理由により労働力が不足しているのです。

また、宅配だけでなくコンビニやスーパーなどの小規模店舗の増加や、在庫数を極力減らすため細かく数回に分けて物を発注する(=多頻度化)といった事象も、労働力の不足に拍車をかけています。

そこで始まったのが、「スマート物流サービス」というプロジェクト。

内閣府が進めている「戦略的イノベーション想像プログラム(SIP)」の課題の一つとして組み込まれています。

今回は、スマート物流サービスプロジェクトの内容や、戦略的イノベーション想像プログラム(SIP)について詳しく解説していきたいと思います。

●戦略的イノベーション創造プログラムとは?

スマート物流サービスについてご説明する前に、まずはこちらについてお話ししていきましょう。

このプログラムは、英語だと「Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program」と表記し、通称SIP(エスアイピー)と言われています。

内閣府に設置されている機関「重要政策に関する会議」のひとつである、総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えてマネジメントすることで、科学技術イノベーションを実現するためのプログラムです。

国民にとって非常に重要な社会的課題や、日本経済再生に貢献するような世界を先導する課題に取り組む、国家プロジェクトとなっています。

平成26年度からは第1期として11個の課題(「重要インフラなどにおけるサイバーセキュリティの確保」のみ平成27年度から)、平成30年度からは第2期として12個の課題に取り組んでいます。

それぞれの課題ごとにプログラムディレクター(PD)を選定しており、そのPDを中心に産学官連携を図り、基礎研究から実用化・事業化までの道すじ、すなわち出口までを見据えて研究開発を推進しています。

今第2期として取り組んでいる12のテーマのうちの一つが「スマート物流サービス」と呼ばれるものです。

●スマート物流サービスとは?

このプロジェクトの主な目標とは、メーカーや物流業者、小売店など物流に関わるどの事業者も、共通で活用できる新たな「プラットホーム」を作ることです。

これを実際に使うことで、これまでよりも効率よく最適な物流を実現することを狙いとしています。

・目指すは物流の「一本化」

では、どの事業者も共通で活用できるプラットホームとはどのようなものでしょうか?

ある製品が購入者の手元に届くまでは、様々な事業者が関わっています。

・メーカーが製品を製造

・物流業者が製品を卸業者の倉庫まで運び、そこから店舗などの小売業者へと運ばれる

メーカー、物流業者、小売店、そして購入者の家までの配送と、異なった業界の企業たちがリレー方式で順々に繋いでいる構造となっているのですね。

ここで課題となってくるのが、「データの共有」です。

製造業者と製品を倉庫まで運ぶ物流業者は、接点となる企業同士のためデータを共有していたものの、それ以外の複数の企業が絡むサプライチェーンのすべてにおけるデータは一本化されていませんでした。

どのような製品が、どんな経路で宅配されているのかが見えなかったのです。

そこで、メーカー、物流業者、卸業者、小売店といったそれぞれの業界のデータを1本で管理できるプラットホームを作ることで、商品の流れを見える化しようというのがこのスマート物流の狙いです。

メーカーの生産実績、倉庫の入出庫データ、荷物の積載率、宅配ルート、消費者の購買データなどを一つのデータに繋げていくのです。

・効率を上げるには「IoT」や「AI」が必須

プラットホームが活用できれば、ここに集積されるデータを分析することができ、人手をかけることなく、より効率的な物流体制を築くことができます。

モノのインターネットと言われるIoTによってさまざまなモノの動きを可視化し、それらのデータを元にAIが配送計画を分析できれば、より効率的な運行ルートやスケジュールを立てることが可能となるでしょう。

国としても、このプロジェクトで物流の生産性を2割ほど向上させることを目標としています。

●まとめ

製品がどんなルートでいつ届くのかが可視化されれば、メーカーも物流業界も小売店も企業の安心や信頼に繋がります。

また、メーカーの生産実績や購買データも分析できれば、物流業者も運送計画が立てやすく、時期によっては人員やトラック台数を増やしたり、逆に減らしたりなどの対策も取りやすくなるでしょう。

そしてそれは、ドライバー不足の対応だけでなく、ドライバーの長時間労働を防ぐことにもなるのです。

生産から消費者までの物流の流れをスムーズに一つに繋げるスマート物流がもたらす変化は、物流業界に身を置く人におっては大きなものになることでしょう。