鉄道貨物って何?運んでいるものや利用するメリット、普及具合についても詳しく解説!
2022.01.17
鉄道といわれると、乗客を運ぶ列車を思い浮かべる方が多いのでは
ないでしょうか。
しかし鉄道は、人だけでなく荷物を運ぶ列車もあります。
鉄道貨物列車は、一体何を運んでいるのでしょうか?
鉄道貨物を使うことのメリットは何かあるのでしょうか?
今回は、鉄道貨物についてその特徴やメリット、運んでいるものやコンテナの種類などについて詳しく解説していきます。
鉄道貨物とは?
鉄道貨物とは線路の上を走る車輪付きの車両、いわゆる「列車」で貨物の輸送を
行う手段のことです。
日本全国に鉄道網があるため、北は北海道から南は九州までたくさんの荷物を
効率よく運べます。
鉄道は、昭和30年代頃まで船とともに国内貨物輸送の主役でした。
しかし道路の設備が進むにつれてトラック輸送が急激に伸びたため、昭和40年代
以降は格段に減少しました。
物流に鉄道が使われることはかなり減ってしまいましたが、場合によっては
鉄道貨物のほうがいいこともあります。
鉄道貨物のメリット
鉄道貨物は、多くの貨物を長距離運ぶのに適しています。
日本で走っているコンテナ貨物列車は、機関車を除いて最長が26両編成です。
例えば街中でよく見かける5tコンテナであれば、1両につき5個積めるため、
1列車でコンテナ130個、最大650tの貨物を一度に運ぶことが可能です。
これは大型の10tトラックに置き換えると65台分です。
トラックを65台動かすためには65人のトラックドライバーが必要ですが、鉄道なら1人で動かせます。
人件費が大きく節約できます。
一度に多くの貨物を長距離運ぶ場合は、効率のよさや人件費のことを考えなくてはいけないため、鉄道貨物を利用するほうがメリットは大きいでしょう。
また、鉄道貨物はトラック輸送よりCO2の発生を大幅に抑えられます。
たくさんの荷物を一度に運べるうえに、CO2も排出しにくいのです。
CO2の排出が減らせるのであれば、それだけガソリンも必要なくなります。
CO2の排出だけでなく、エネルギーの消費量も減らせられるのです。
鉄道貨物は、近年問題になっているトラックドライバーの負担だけでなく、
環境負荷も抑えることができる輸送手段でもあるといえるでしょう。
鉄道貨物は何を運んでいるの?
鉄道貨物は、主に以下のようなものを運んでいます。
- 宅配物
- 肉・野菜・果物など農産品・青果物(食料品全般)
- 工場で作られた製品
- 製品を作るための材料
- 液体やガスなどの燃料
- 危険物
人々の生活に密着した物資から、社会が機能していくために必要なものまで幅広く輸送を行っています。
輸送は、法人はもちろん個人利用も可能です。
これらの貨物は全て、コンテナの中に積んで運ばれています。
余談ですが、大手スーパーのイオングループは、専用の貨物列車を所有しています。
北海道・関東・中部・関西の各店へ安全かつ効率よく商品を発送するために、
専用列車を仕立てているのです。
鉄道貨物が普段何気なく手に取っている商品を輸送していると思うと、何だか鉄道貨物も身近に感じられますね。
鉄道貨物列車が運ぶコンテナの種類
31フィートコンテナ
長さ9.4m の大きなコンテナで、10tトラックと同量の荷物が運べます。
31フィートコンテナはその大きさと積載容量から、輸送単位や荷役作業を変更することなくモーダルシフトを実現できるため、普及が進められています。
12フィートコンテナ
最もよく使われているコンテナです。
5tまでの荷物を運べます。
正面も側面も開くようになっておりどちらからも貨物を積み込めるため、
さまざまな荷役場所に対応できます。
冷凍・冷蔵コンテナ
高い保温性能を備えているコンテナです。
内部を一定の温度に保てるため、冷凍食品や生鮮食品などを安全に運ぶことが
できます。
ISOタンクコンテナ
危険品や劇物・毒物の輸送などに使われています。
たくさんの液体を一度に多く運ぶことが可能です。
鉄道貨物を普及させる取り組み「モーダルシフト」とは?
国では、ドライバーの人材不足や長時間労働による過重労働など、
トラック輸送ならではの問題を解決するために「モーダルシフト」を積極的に
推奨しています。
物流業界の労働環境をを少しでも豊かにすることに加え、先にご紹介したメリットのことも考え、輸送方法を鉄道にシフトチェンジしようという試みです。
しかし、小口輸送などに適していないこと、急な出荷量の増減などにも
対応できないこと、トラックよりも輸送コストが高額であることなどが
課題に挙がっています。
今後システムが構築され、様々なニーズに対応できるようになれば、
モーダルシフトが実現されるでしょう。
まとめ
鉄道貨物はあまり見かけないためピンとこないかもしれませんが、私たちが普段
よく手にする身近なものを運んでくれています。
さまざまな問題からなかなか普及しない輸送方法ですが、増えていけばCO2の削減などが期待できます。
物流業界で問題となっているドライバー不足や長時間労働などの解決も可能となるでしょう。
今後システムが構築され、少しずつでも鉄道貨物が普及されることを祈るばかりです。