株式会社SHUUEIの採用情報サイトです。

ロシア・ウクライナ情勢で日本の国際貨物はどうなっている?物流業界の状況や影響について解説

ロシア・ウクライナ情勢で日本の国際貨物はどうなっている?物流業界の状況や影響について解説

2022.04.04

2022年2月24日、ロシアはウクライナへの侵攻を始めました。

遠い国での出来事のように思いますが、決して他人事ではありません。

侵攻によって日本の物流業界に大きく影響が出ています。


そして物流業界の影響は、物流があってこそ生活ができている私たちにも

少なからず影響しているのです。


今回は、ロシア・ウクライナ事情によって日本の国際貨物がどうなっているのか、物流業界にどんな影響が出ているのかを解説いたします。


ロシア・ウクライナ情勢による物流の影響

ロシアのウクライナ侵攻によって特に影響が出ているのは、航空輸送です。


日本を含む東アジアは、これまで世界の航空輸送の拠点としてさまざまな国へ物を届けていましたが、ウクライナ侵攻によって日本の航空会社は対応を迫られることとなったのです。


現在、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)、日本貨物航空(NCA)は欧州路線の貨物便を運休したり、ロシア領空を迂回し別ルートで運航したりなどの対応を行っています。


とはいえ、日本とロシアの間で航空を使って輸出された金額はそこまで多くないため、影響も大きくは出ないでしょう。

ただ欧州全体でみると、ドイツなど輸出金額に占める航空輸送の割合が高い国もあります。


輸入の面でいえば、ドイツだけでなくフランスやイタリアからは5割以上を航空輸送に頼っています。

日本と欧州全体の間で見ると、特に輸入に関してはウクライナ情勢の影響が大きく出るでしょう。


気になる軽油価格の急騰

ロシア・ウクライナ情勢による軽油価格の急騰は、物流業界が最も気にしている

ことです。


ロシアは世界屈指の産油国であるため、もしロシアが原油や天然ガスの輸出抑制に踏み切れば、軽油価格が急騰する可能性があります。


軽油価格が上がれば航空や船舶の燃料コストも上がりますし、更には電力料金への影響なども考えられるため、物流事業を運営する上で必要な経費の負担が重く

のしかかるでしょう。


運営経費の負担が大きくなれば、その分人件費などの削減に踏み切らざるを得なくなるかもしれません。

そうなると、今物流業界で働く人たちにも大きな影響が出ます。


物流業界で働く人が減ってしまえば、消費者に物が届きにくくなってしまうという事態に陥ることも考えられます。

軽油価格の高騰は物流会社の人件費削減につながり、人件費削減はやがて消費者の生活に影響するでしょう。


ロシア・ウクライナ情勢によって日本の航空会社を使う荷主が減る?

現在日本の航空会社は、便を減らしたりロシア領空を迂回し別ルートで運航したりなどの対応をとっているとお話ししました。


便数が減ることで、旅客便も客室下の貨物室を使って物を運ぶようになるため、貨物スペースの供給は減ります。

それでも航空で物を運ぼうとするのであれば、どこか別の航空会社を経由しないと運べないといったケースが出てくるでしょう。

そうなると、貨物輸送に強いドバイや香港などの航空会社を利用する荷主が増える可能性があります。


かといって、日本と欧州は距離もあるため、海での運送に切り替えることは現実的ではありません。


また、そもそも日本は、欧州路線に貨物専用機をあまり使ってこなかったため、

貨物スペースの供給量が元々多くありませんでした。


便数の減少や欧州路線への貨物スペース供給量の少なさによって、日本からの直行ではなくドバイや香港などを経由するルートを確保しようとする荷主が増えていく可能性は大いにあるでしょう。


ロシア・ウクライナ情勢は日本企業の物流を直撃

ロシア領空に規制がかかったことで、さまざまな企業の物流に影響が出ています。


ジェネリック医薬品のCMでもおなじみのサワイグループでは、ウクライナから

調達していた抗がん剤の原薬の輸入が止まっています。

在庫はまだあるため当面は問題ないものの、昨年から動いていたドイツからの調達を急いでいます。


電子部品大手のロームは、半導体などの自社製品の約9割を空輸していますが、

別ルートで輸送できているので問題はないとしています。


ただ、情勢を予測することは難しいため、物流の担当者や物流業界関係者は「今はよくても、中長期的にどうなるか分からない」「長期計画を立てられる状況に

ない」と話しているのが現状です。


貨物輸送ルートの経由地「アンカレッジ空港」が再注目?

アンカレッジ国際空港は、かつてヨーロッパ便の経由地として名をはせた空港

です。

1990年代前半から、直行便が主流となったことでアンカレッジ経由のルートは運用されていませんでしたが、最近ある理由から「今後注目されるのでは?」と話題になっています。


それは、ロシア・ウクライナ情勢によってロシア領空に規制がかかったこと。

南回りルート・北回りルートで迂回している航空会社が増えているためです。


アンカレッジ国際空港は、9.5時間の飛行で先進工業国の90%をカバーできる場所に位置しています。

もし南回りルート・北回りルートによる迂回が長引いた場合、アンカレッジ国際

空港の位置的なメリットが再び注目されるかもしれません。


まとめ

ロシア・ウクライナの状況は今後どうなるか分かりません。

長期化する可能性もあるため、物流業界はどんなことに影響が出るのかをある程度予測して、対策を考えていくべきでしょう。


ロシア・ウクライナ事情に関しては痛ましいニュースが多くあり、胸が苦しくなる思いでいっぱいになりますね。

一刻も早く、この状況が落ち着くことを祈ります。