深刻な荷物の再配達問題!なくすために物流業界が行っている取り組みとは?
2022.06.13
荷物の配送ドライバーを仕事にしている人にとって「荷物の再配達問題」は避けて通れない道です。
受け取り側が思っている以上に、再配達は大変です。
一度行ったルートを再び走る手間が発生する分、残業をする可能性があります。
どれだけ再配達しても、ドライバーには1件分の配送料しか支払われません。
受け取り側も、再配達の手配という手間が発生します。
再配達は、どちらにもメリットがないのです。
メリットがないのなら、なくしたほうがお互いのためですよね。
今回は、物流業界で近年取られている、再配達をなくすための取り組みについて
ご紹介します。
再配達問題は今に始まったことではない
再配達問題はメディアでも取り上げられるようになりましたが、今に始まったことではありません。
ただ、近年ではさまざまな理由により、より一層再配達が問題視されてきているのです。
中でも大きな理由は、国土交通省が発表した「令和2年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」の中にありました。
宅配便取扱個数の推移は年々増加しており、特に令和元年から令和2年にかけて
大きく伸びているのです。
ネットショップは、インターネットの利用者が劇的に増えた1990年代後半から
誕生し始めました。
楽天やAmazonなどがショッピングサイトを立ち上げる中、2007年にiPhoneが発売開始。
スマホが大きく普及していったことで、ネットで買い物をすることは当たり前と
なっていきました。
そして令和2年。
2020年というこの年は、新型コロナウイルスが大流行し始めた年です。
買い物がよりネット中心となったことで、このような結果になったのでしょう。
ネットは24時間、場所を問わずどこでも注文できます。
それが当たり前となり、当たり前の数が増えたことは、その分ネットショップで
購入した物の配送量が増加していることを意味します。
配送量が増えたことに比例して再配達の量が増加したことが、再配達が問題視される大きな理由といえるでしょう。
再配達をなくすための取り組み
①コンビニ受け取りを選択可能に
ネット通販では、再配達という手間をかけることなく、商品をすぐ手に取って
もらえるようにとコンビニ受け取りを選択できるようにしているところが多くあります。
コンビニ受け取りとは、物を注文する際、配達先を自分の家ではなくコンビニを
指定するというサービスです。
生鮮食品など、クール便で届けないといけないものは指定できませんが、他のものであれば大いに利用できます。
仕事帰りなどに取りに寄って帰れば済むことなので、再配達の連絡をする必要が
ありません。
コンビニには必ず人がいるため、ドライバーも不在だからと帰らなくて済み、効率よく配送できます。
②宅配ロッカーの設置
最近では、宅配ロッカーを設置している駅・スーパー・駐車場などを見かけるようになりました。
例えばJR東日本 駅の宅配受取ロッカー ご案内でも説明している、「はこぽす」や「PUDO(プドー)ステーション」です。
ネット通販で注文をする際、お届け先に「はこぽす」や「PUDO(プドー)ステーション」があれば、指定可能ということになります。
宅配ボックスに荷物を届けてもらうことで、仕事帰りなど配達時間外に荷物を
受け取ることが可能です。
普段家を空けていることが多い方にとっては大きいメリットとなりますし、配達側としても一度で荷物を配達できます。
また、複数人分の荷物を同じ場所に届けられるため、配達効率も上げられるでしょう。
③アプリで取っている対策
物流業界では、アプリを使って再配達の減少も試みています。
株式会社ウケトルは、iOSアプリ「ウケトル」を開発し、ヤマト運輸・佐川急便・
日本郵便など大手宅配業者と連携して提供を始めました。
ウケトルをスマホに入れ、楽天やAmazonなどの大手ネット通販会社の自分の
アカウントを登録しておくことで、自動で配達状況を連携します。
ネット通販会社のアカウントとアプリが紐づいているため、荷物が最寄りの営業所に着いた時点でスマホに通知が届くようになります。
もし不在であれば、その時点で荷物の到着を別の日に変更できます。
配達側は事前に利用者の不在が分かるため、不在の家に出向く必要はありません。
よって、再配達をする必要もなくなるのです。
④事前に配達予定時間を知らせる
大手運送会社では、配達される時間を伝えるシステムも構築されつつあります。
例えばヤマト運輸が行っているサービスでは、ヤマト運輸のクロネコメンバーズに登録することで、配達予定時間がスマホに連絡されるようになります。
配達時間や場所の変更も可能です。
また、日本郵便でもLINEでゆうパックの配達予定時間を知らせるサービスを行っています。
ゆうパックの宛名にある「お届け先電話番号」とLINEに登録されている電話番号が一致した受取人に、LINEで配達予定時間を配信するという仕組みです。
配達時間や場所の変更も、Web上から可能です。
配達側はもちろん消費者にもメリットがあるため、今後も利用者は増えていくでしょう。
まとめ
再配達問題を解決するため、物流業界では多くの対策が考えられており、実現しています。
再配達をなくすには、物流業界だけが頑張っても解決しません。
例えばアプリや宅配ロッカーの開発は、開発を専門とする一般企業が物流業界に協力しているのです。
受け取り側も協力できるところは協力して、皆で問題の解決に取り組んでいきましょう。