物流業界の管理者に役立つ資格とは?
2023.06.20
物流のお仕事といえば「モノを運ぶ仕事」とイメージする人も多いのではないでしょうか。
実際には荷物を運ぶ以外にも多くの業務があり、それらの業務を効率的に行う管理業務を担っているのが物流管理の仕事です。
今回は、物流管理の仕事内容や向いている人の特徴、必要な資格を紹介していきますので、興味を持っている人は是非チェックしてみてください。
物流管理とは
流通加工、包装、荷役、保管、運送などの物流業務を効率的でスムーズに行うための管理業務を指し、会社の利益を生み出す上で重要な役割を担っていると言えます。
以前から物流管理自体はあったのですが、最近になり再注目されるようになりました。
新型コロナウイルスの感染拡大によって通販の需要が大幅に増えた影響で、従来の方法では運営がスムーズに行われず、物流業務のあり方の見直しが求められています。
最近ではEC事業が浸透してきたため、企業のみならず個人でもモノを販売できるようになったことで、物量が増えただけではなく、集荷方法なども変わりつつあります。
このような状況に対応するためにも、各工程の生産管理が大きく見直され、適切な物流管理が求められています。
物流管理の目的
企業が物流管理を行う目的を紹介します。
・業務の円滑化
物流管理を徹底することによって業務全般を円滑に進行し、業務効率化につなげることができます。
どの商品をいつ、どのような形で誰に届けるのかといったことが把握できていれば、最適な物流計画を決定し円滑に配送準備を進めることが可能です。
業務効率化が進めば、現場の生産性も向上して作業における無駄がなくなり結果的にコスト削減、長時間労働の抑制の抑制も実現できます。
・物流の品質向上
物流管理において大事なのは、お客様へお届けする商品の管理です。
管理が適切に行われていれば、発注と発送で商品や数に間違いがないか、破損や欠品等がないかなどを事前にチェックができ、適切な商品を適切な状態で配送できます。
仮に、管理ができていないと受注してから欠品に気づき配送までの時間がかかってしまったり、メーカー在庫がない商品についてはキャンセルせざるを得なくなる場合もあります。
破損商品や誤発送などはお客様からの信頼を失ってしまうだけでなく、クレームにもつながるため、日頃から物流管理を通じて物流品質の維持・向上に努めることが重要と言えます。
・物流コストの最適化
物流管理の徹底は無駄なコストの削減につながります。
在庫過多の状態だと保管スペースの確保や管理の手間も増えるため、コストが増える要因になりかねません。
破損商品や誤発送などがあるとお客様からのクレームにつながり、カスタマーサポートにかかるコストが増大する場合もあります。
物流管理を通して適切な在庫数を把握していれば、このような無駄もなくなりコストの最適化につながります。
物流管理に必要な資格
ひとことで「物流業界」といっても、企業によって働き方や仕事の進め方も異なります。
24時間体制で体を動かす職場もあれば、管理業務のオペレーターとしてパソコンスキルが求められるケース、場合によっては外国語のスキルが必要なケースもあるでしょう。
もちろん無資格・未経験からできる仕事もあり、働きながらスキルを身に付けることも可能ですが、物流業界で働くうえで、自分が携われる業務の幅を広げるために有利になる資格もあります。
こちらでは物流管理業務で活かせる資格を紹介します。
・自動車免許
小型トラックであれば普通自動車免許でも問題ありませんが、免許の取得時期によって、運転できるトラックの種類も異なります。
■2007年6月以前に免許を取得した方
‥‥最大積載量5t未満の車両を運転できます。
■2007年6月2日~2017年3月11日に免許を取得した人
‥‥最大積載量3t未満の車両を運転できます。
■2017年3月12日以降に免許を取得した人
‥‥最大積載量2t未満の車両を運転できます。
このように普通自動車免許の取得時期によって、運転できるトラックも変わるので気を付けましょう。
物流の現場では、「大型」「中型」「大型特殊」「けん引」といった特殊車両の運転免許が必要なケースが多く見られます。
■中型
‥‥総重量5t以上11t未満、最大積載量4.5t以上6.5t未満の車両を運転できます。
■大型
‥‥総重量11t以上、最大積載量5t以上の車両を運転できます。
■大型特殊
‥‥クレーン車やフォークリフトなど、
大型の特殊装備のある車両を運転できます。
■けん引
‥‥トレーラーと呼ばれる荷台部を連結して運転する際に必要となる免許です。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験/実技試験
【受験資格】 大型:21歳以上、中型:20歳以上、
大型特殊:18歳以上、けん引:18歳以上
※視力等の状態確認、自動車免許の有無、
免許取得後の経過年数などの条件あり
【難易度】低め(けん引は高め)
【費用】大型:4~40万円程度、中型:4~20万円程度、
大型特殊:7,000~20万円程度
・フォークリフト運転技能者
倉庫内で荷物を移動する際に使用するフォークリフトを運転する人に必要な資格です。
荷重1t以上のフォークリフトの場合は、フォークリフト運転技能講習を受講後に学科試験、実技試験を受けて合格すると、「フォークリフト運転技能講習修了証明書」が発行されると敷地内でフォークリフトを扱えるようになります。
荷重1t以下のフォークリフトであれば、フォークリフトの運転の業務に係る特別教育を受講すれば資格がなくても扱えます。
フォークリフトで公道を走る場合は、特殊自動車免許が必要です。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験/実技試験
【受験資格】18歳以上
【難易度/合格率】95%程度
【費用】2~5万円程度
・倉庫管理主任者
倉庫内の火災防止や安全作業、作業員の労務管理関連の業務に携わる人に必要な資格です。
倉庫業として事業登録された企業には、倉庫管理主任者の選任が義務化されています。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】なし
【受験資格】なし
【難易度】講習によって取得
【費用】12,000円
【運営組織】日本倉庫協会
・【2級3級】ロジスティクスオペレーション
輸送・保管・荷役・包装流通加工などのオペレーション業務に必要な知識を証明する検定試験です。
物流業務におけるキーマンになりたいという方におすすめの資格です。
3級はロジスティクスオペレーションに必要な知識を一通り身につけることで、現場のミッションを着実にこなす技能が求められますが、2級では現場の管理職的な技能も求められるため難易度も高くなっています。
【資格の種類】公的資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】なし
【難易度/合格率】2級:46%、3級:48%
【費用】2級:7,700円、3級:6,200円
【運営組織】中央職業能力開発協会
・運行管理者(貨物)
安全に輸送を行うために、常務割の作成・管理やドライバーへの指導監督などを行う資格です。物流業界で輸送関連の仕事を行う方は、取得しておきたい資格といえるでしょう。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】実務経験などが問われる
【難易度/合格率】30%程度
【費用】6,000円+システム利用料660円
【運営組織】運行管理者試験センター
・貿易に関する知識
海外からの荷物を扱う場合は、貿易に関する知識があると優遇されます。
貿易に関する知識を証明する資格には、「通関士」「物流管理士」「貿易実務検定」などがあります。
・通関士
税関へ輸出入品の申告など「通関手続き」を行うために必要となる資格です。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】なし
【難易度】高
【費用】3,000円
【運営組織】財務省
・海技士
コンテナなどを積む大型船舶を操縦する際に必要な資格です。
【資格の種類】国家資格
【試験内容】筆記試験/口述試験/身体検査
【受験資格】所定の乗船履歴が必要
【難易度/合格率】合格率3〜4割
【費用】筆記試験:2,700円~7,200円(級による)、口述試験:3,000円~7,500円(級による)、
身体検査:870円 ※別途登録料
【運営組織】国土交通省
・貿易実務検定
貿易実務の能力や知識を証明する検定試験です。
検定はA級・B級・C級の3レベルに分かれており、最も上位のAの級は約3〜4年の実務経験やマネジメントに関する業務の証明として有効です。
【資格の種類】民間資格
【試験内容】筆記試験
【受験資格】なし
【難易度】低
【費用】A級:11,600円、B級:6,800円、C級:5,700円、
A級・B級併願:18,400円、B級・C級併願:12,500円
【運営組織】日本貿易実務検定協会
まとめ
物流は私たちの生活になくてはならないライフラインの一つです。
今後も市場ニーズが拡大傾向なのは間違いありませんが社会のグローバル化や経済状況によって、求められるサービスが変わることは考えられます。
市場ニーズに合わせた資格を取得した方が今後の物流業界で活躍できると言えるでしょう。
これから物流管理の仕事がしたいと考えているのであれば、今回紹介した必要な資格なども参考にしてくださいね。
※こちらのコラムは2023.6.20時点の情報です